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真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第1章 チェンバロ









『その出会いが、
こんなに沢山の気持ちを、色を、音をもたらしてくれるなんて知らなかった』

「へぇ! すげーなー! モーツァルト! よくわかんねーけど」

『うん。 よくわかんなくっていいよ。 翔陽くんは一生分からなくて良いの』

「はっ? それどういう意味?」

『だって私だけのモーツァルトだから。
私だけが知ってれば良いの』

「なるほど…」

『ふふっ そしたら私、準備するね』

「えっ、まだ1時間もあるのに?」

『大好きな人とのディナーだから、久々におめかししたいの。
大好きな人が選んでくれたドレスを着るわけだし』






大好きな人、だって。

私の口からそんな言葉が出てくるなんて。







「そそそそ…そっか!」







翔陽くんは顔を真っ赤にした後、そっぽを向いた。







『…ふふ、かわいい』







そっぽを向いたその後ろ姿を目に焼き付けてから
シャワーを浴びにバスルームへ。








一瞬一瞬がこんなにも尊いなんて。

ディナーの時間がこんなにも待ち遠しいなんて。

そしてデートの準備がこんなにも心躍るものだなんて。

知らなかった、知らなかった。






そしてもう、知ってしまった。







シャワーを浴びたら、全身をたっぷりと保湿をして。
翔陽くんにもシャワーを浴びてもらって。

その間にドレスを着て、ヘアセットして、お化粧して。
首に、耳に、手首に… アクセサリーをあしらって。

それからそれから、
今日買った服に身を包んだ翔陽くんに思い切り抱きつくんだ。






そう、思いっきり、抱きつくんだ。







キスがあってもいい。なくてもいい。
ディナーの後に何があってもいい。なくてもいい。
この先に何があっても何がなくても。

もうずっと変わらない。







君がいれば。







みかん色の髪をした
私だけのモーツァルト。














fin
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