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真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第7章 ひとりぼっち










『…うん、倫太郎の言ってることわかる気がする』

「ていうか、美大生なんてそんなのの集まりでそんなのが日常っぽいけど」

『…そう、いうわけでもないって言いたいけど』








うちの大学は、倫太郎の言うとおり、
美大の中ではかなり、エリートだ。

それゆえ、偏差値とか倍率とかも高くなる。

だからつまり… 入学するのには相当なものが要される。
人によっては東大、京大の数倍難しい、と言う人もいる。

そんなの、入る前のことで。
大事なのは入ってからだとは思うけれどでも確かに。

確かに、座学だけではないものを入試の段階で要されるのが藝大な訳だから。
入ってくる人、大学で出会う人たちみんなの、
モチベーションとか眼差しの高さ、日常の中での溢れ出る創造性みたいなもの。
何だろ別に、ストイックな話ではなくて、そうじゃないからこそ特別な感じ…

高い何かを有しながら、ごく普通に生活を送っている感じがまた、
その大学の持つ何かをしかと感じるし、
だから、うん。倫太郎の言ってることは当てはまる。











『…そういうとこ、あるかも』

「そしたら、なんか、全部ひっくるめてって感じじゃんね。 ねぇ、これちょうだい」










倫太郎は机に広げた数枚の画用紙から一枚、手に取った。
倫太郎の手元をデッサンしたもの。

iPhone、服によった皺、爪の艶。

倫太郎は、思いの外指がごつごつして。でも爪が妙に綺麗で。
それがまた色っぽいんだ。








『全部、ひっくるめる……』









確かにそうだな、と思った。

ひとりぼっちも、ひとりぼっちが後ろめたい気持ちも、
花に、海に、風に、幸せだなっていちいち抱く感情も、
倫太郎とするひとりじゃできないこと、ひとりぼっちじゃ得られない高いとこにあるそれも。










糧にしていけばいい。










うしろめたいって思わないようになりたい、とかちょっと思ってたけど。
そうじゃないや、ふと、うしろめたいって思う今の自分をまるっとひっくるめて。

そんな自分のままで手を動かしていれば。
心を動かしていれば。

きっとそこから現れるのは、なにか、私だけのものになる。

ひとりぼっちだからこそ、私だけの何か。









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