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真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第7章 ひとりぼっち









2018年、5月。







藤で編んだカゴを背負って来たのは、
埼玉のとある牧場。







一面に咲くポピーが見たくて。








『えっ 摘めないんですか?』

「うちでは、摘み取り体験はしていないんですよ。
でも、風に揺られるポピー、見てるだけで綺麗なので十分楽しめるかと…」









そんなことわかってる。
それでもカゴいっぱいにポピーを背負って帰るんだって。
そう思い描いていたのに。

ショックが大きい。

ショックは大きいけどせっかくここまできたんだし。
入場料を払い、ゆっくりと歩く。

日差しは暑い。
でも、影は涼しい。

そんな5月の日。








そよ風は心地よく。

ポピーは無邪気に風に揺れてる。









幸せだな。

風が吹いてるそのことが。
太陽がじりじりと肌を焼くこの感じが。
花が、そこに咲いてることが。

それだけで、私、幸せって思う。








ゆっくりゆっくり歩いて、ソフトクリームも食べて、
シャトルバスに乗って駅まで行って。

空っぽのかごもまた愛おしい。

当初の予定通りここにポピーが詰まっていたら、
早急に家に帰らないとだったけど。

空っぽだもん、せっかくだしどこかへ寄り道して帰ろう。





…なにがあったっけ。






あ、ピザ。ピザ食べたい。
石窯ピザの美味しいってお店が、川越になかったっけ。








そんな記憶を辿ってとりあえず、川越まで来た。
駅に着いてから、お店の名前を調べてるんだから、
ほんと自分でもほとほと呆れるほどに能天気だなと、
どこか他人事のように思う。















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