第5章 未来
・
・
・
くったくたのとろとろの身体でベッドに横たわってる。
侑くんと並んで2人。 裸で。
「…なぁ、一個聞いていい?」
『んー?』
「ピアスとワンピースの分は今返したんやろ?」
『…それは言ってみただけ』
「………」
『でもブランケットの分もアイスの分は、まだ。…まだ返す気はない』
「ほんなら、今からもっぺんシてそれも返して?」
『いや』
「え!なんで!風呂でしよ?風呂いれて、風呂にな、このキャンドル持ってってしよーや。
絶対気持ちええよ。 な、ええやろ?」
『…うーん、いいけど、それは』
「それは?」
『それは… んーと… じゃあ、そうだな…』
「…もしかして、全部返してまったらとかおもてる?」
『………』
「アホやなー それからかわええなー ほんまに。
今日だけもらったんちゃうもん。もーこれからずっとやで?
ずーっと俺のもんやん? やから返済不可やし、ある意味返済不要やで。
あ、アイス屋の分は返済して欲しいけどな!また行きたいからな」
『…侑くんといると』
「ん?なに?」
『未来がすぐそこにあるみたい』
「………」
侑くんは一瞬キョトンとした顔をしてそれから、ニコォって笑った。
「やろ?待たんでもどんどん来んで」
『………』
「やからほら、逆にな。逆に、風呂に行くんすらまどろっこしなったりもすんで?」
そう言って侑くんはまた、私に覆いかぶさる。
未来ってほんと。
時間ってほんと。
伸びたり縮んだり自由自在に訪れる。
侑くんといるとそれはすぐそこで、
うんそうだな… 侑くんの言う通り。
すぐそこにありすぎて、まどろっこしい。
間に、間にもっともっと、挟んでいきたくなる。
お風呂にももちろん入ろう、でも訪れるその未来の前に。
こんなんやっても楽しいんじゃない?って。
そんなことしてるうちにあっという間にどんどん時間が過ぎて行く。
未来がいつのまにか今になって、過去になる。
だからやっぱりそう、待ってらんない。
待ってたらあっという間に通り過ぎちゃうもん。
侑くんとの未来は、さ。
fin