• テキストサイズ

真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第4章 写真









「佐々木先輩、ほんとに一年で帰ってきたんだね。
一年ブランクあけて実習とか私絶対無理」

「マジそれ、っつーか俺はブランク開けなくても、
明日からの一年がこえーわ……」







新学期。

校内の話題は実習の振り分けのこと、
それから一年休学して世界一周旅行をしてきたりさ子さんのことで持ちきりだ。


SNSも一歳更新せず、
LINEも誰が送っても既読もつかない、
今どこで何をしているのか音沙汰のない1年間だった。

だから皆、今日その姿を見るまで、
本当に復学するのかすら分からない。そんな状態で。



…とはいえりさ子さんの学年はもう卒業していて、
俺は学年的には一個下のはずなんだけど、
まぁ、つまり同学年ってことで。

俺の専攻は医学部だから、
年齢の違いはさして珍しいことじゃない。

でも、学年一位の成績をキープし続けた秀才且つ、
ミスキャンパス?的なのに毎年推薦されるようなルックスを備えたこの人が
親と大学の反対を押し切るというか丸め込み、休学。
そして小さなバックパック一つ背負って世界一周へ行くことにしたという経緯もあり、
なかなかイレギュラーなパターンではある。







『あ、白布くん、発見。 グループ一緒だったね〜』






小麦色に焼けた肌。
さらさらの黒髪。
整った目鼻立ち。
長い手足。



俺はこの人に恋をしていた。



この人が休学する前。



そして、結構良い感じ且つ曖昧な関係だった。




だからなんていうか、結構気まずいというかどんな顔して会えば良いんだよって…
そんな気苦労をよそに飄々と話しかけてくる。







「どーも。 何してきたんすか」

『どこ行ってきたじゃなくて、何してきたって聞くとこが好き』

「………」






屈託なく笑って、俺を覗き込むその様に、
一年前の感情が唐突に甦る。



臨床実習に、勉強に忙しい医学部5年の一年を過ごす中で薄れていた感情。





ったく、ほんとに何してきたんだよ。
















/ 225ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp