Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第58章 なずなの戦い
「そりゃそうよね。扉が。鍵掛けてないはずないもの」
鍵のかかった扉……
(次は鍵の解錠かぁ)
この時の私は、後で思い返せば不思議な興奮状態、精神状態だったのかもしれない。
次はどんな手で来るのかしらと思ったり。 縄抜けが上手くいかなくて焦ったり。 足の怪我に動揺したり。
様々な、感情に揺さぶられていたから……
普段から身に付けている細長い棒で根気強く、鍵穴をいじって……
-ガチャ-
(え?)
自分の手に解錠の手応えが伝わって来たのではなかった…… まるで外から開けられた感覚……
(捕まるっ)
中に見張りの者がいないからって…… 外に見張りがいない訳ないじゃない!
外喜様がそこの所を、抜かるなんてありえないもの。
けど捕まるわけにはいかないの! 翔禾様と雅若様の御傍に!お助けしに行かねばならないのだから!
(扉が開いたら 外に飛び出して……)
-ギギィ-
鈍い音を立てて 、開けられた扉。私は飛び出そうとして……
「きゃぁ!」
足を捻っていて動けないのを失念していた。
(また捕まるっ!)
お役に立つ所か。敵方に捕まって。迷惑を掛けるとか……悔しくて情けなくて ……地面にうずくまり動けなくて。
敵方に涙見せたくないのに涙が止まらなくて……
「なずなっ!大丈夫かっ!?」
(え?潤様?)
思わず上体起こして……
空耳じゃなくて。本当に潤様だった……
驚きすぎて固まっていると。
潤様は、地面に跪《ひざまず》かれて。私を……何でか抱き寄せられてっ
「遅くなってすまなかった。無事で良かった……なずな……」
潤様のお姿に。優しいお言葉に……
「ひっ、ワーッ」
私は安心からか。
みっともなく……大声で 泣いてしまったの