Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第56章 翔希の方の怒り
-爽.翔希の方.陽の戦い-
-本丸東御殿- 翔希の方.陽の部屋-
翔希の方と陽は、純梨の方の部屋付きの持女からの報告を聞いていた。
「外喜様の腹心の使用人が、純梨の方様の居室に商人の格好をして訪ねて来ました。純梨の方様は、外喜様が何かしら仕掛けてくるやもしれない。と大変危惧されておられます」
可哀相に。青ざめ、声音を震わせながらもしっかりと口上を述べてくれて。
「大変なお役目ご苦労様でしたね。貴女に何かないように、落ち着くまでこちらにいなさい……私も、大殿様も充分に気を付けますから。ありがとう」
翔希の方が、持女に労りの言葉を掛けたのと同時に。
『翔太希の方様! 陽様! ただいま、東櫓付近よりボヤ騒ぎが! 会議の為に、登城支度をされていた外喜様に報告がありまして! 支度整い次第 向かいますので。それまでは、潤様と和也様に指示をお願いしたく!』
新たに、もたらされた報告。
(外喜っ!)
爽は、瞬時に翔禾姫と雅若に、 危機が迫っているのだと察した。
(外喜に報告が上がって、外喜の方から……私…….翔希の方と陽様に指図だとっ!)
「外喜は、遂に一番上に立つ人間になったのですね……」
「翔希の方様……」
冷笑を浮かべた翔希の方様の怒りが見える……
「潤様と和也殿に! 外喜の罠やも知れぬ……」
翔希の方が言い掛けた時。今度は。
「緊急の要件により、失礼致します! 智様よりの指示にて、負かりこしました! 外喜殿より、翔禾姫様と雅若にお茶の誘いが! ボヤ騒ぎの報告は、潤様と和也様を姫様達より引き離す罠にございます。ボヤ騒ぎの陣頭指揮をして頂けたらと……!」
(ゆずな?)
焦っているだろうに、それを見せずはっきりと口上を述べたゆずな。
「引き受けた!」
陽が答えると。
「陽様……」
「 それから…… 私の娘なずなが……」
「…… その、床に伸びているだろう、男を捕まえて。私が尋問致すゆえ、先を急ぎなさい……」
「大殿様っ! それではよろしくお願い致します。 先を急ぎますので失礼致します!」