Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第55章 暗号
-ガラっ!-
「 智殿?」
「翔禾姫。雅若。お待ち下さい……」
智は、 情けない事に、妙案が浮かばなくて。それでも和也と潤に、どうにか伝えねらば。と。 時間稼ぎをして翔禾姫と雅若を引き止めねば。
と、必死に考えて……
その時!
『翔希の方様! 陽様! ただいま、東櫓《ひがしやぐら》付近よりボヤ騒ぎが! 会議の為に、登城支度をされていた外喜様に報告がありまして! 支度整い次第 向かいますので。それまでは、潤若様と和也様に指示をお願いしたく!」
翔希の方様と陽の居間より、聞こえて来た口上……
(使者失格だな…… 大声で自分達の手の内を明かすなど。おかげで、こちらも動きやすいけどな……)
今の間に、懐紙に何かを、墨にて書き付けていた智は。翔禾姫と雅若者を案内する為に、控えていた男に向かって……
「翔禾姫。雅若? お待ち下さい!」
これから何かが起きるのであろう。と察した翔禾姫が、雅若と手を繋ぎ、動き出してしまったのだ!
(早く!)
「おい! 悪いようにはしない! 外喜殿の横暴な振る舞いに嫌気がさしているのだろう? あんたっ! この懐紙を!他の家臣達に悟られないよう! (本丸中央)政務の間の和也様と、潤様に!」
使いして来た男に叫ぶ!
男は、悟った。智が外喜からの報復から自分を守ると言っている……
男は小さく頷くき。懐紙を受け取ると、脱兎のごとく駆け出して和也と、潤のいる政務の間に急いだ!
*櫓《やぐら》とは、城郭内に防御や物見のために建てられた仮設または常設の建築物である。日本では石垣や土塁の上に木造の建築を建てて、攻め手への攻撃と防御を有利に働かせた。多くの例は、通常の窓のほかに攻撃用の小規模な開口を複数箇所設けてある。櫓は元々「矢倉」と書かれ、弓矢や刀、|甲《かぶと》などをしまう武器庫を意味し、見晴らしのよい高いところにつくられている参考文献 Wikipedia他