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Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第55章 暗号


 その頃の翔禾姫.雅若

-本丸 北御殿 -



 智は、翔禾姫の部屋の左隣。和也が使用する控えの間にて、襖の絵を描きながら、翔禾姫.雅若を見守っていた。


 急ぎ、描かねばならない絵という訳ではない。


 和也が、鍵を管理している為、諜報活動の中、掴んだ情報をまとめた物などを箪笥や小物入れに忍ばせたり。今みたいに翔禾姫と。雅若に張り付いて見守るに為には、言い方は悪いが、 智にとって、使い勝手の良い部屋なのである。

 日が燦々と降り注ぎ、翔禾姫と雅若の楽しげな様子を見るに付け。

(和也殿と潤様は、本丸中央の政務の間にて会議中であるし)

《何事も起きて欲しくない》

《今日は何も起こらなそうだな》

 なんとなく……不思議な感覚に陥る。そんな日で。


(ん?)

 空気の流れが変わった? 


 一瞬で緊張感に包まれた、智とその場の空気……


(人の気配……ゆずな殿か?)

 気配は翔禾姫と雅若は。自分が様子を見ているし、翔禾姫と雅若の近くには、別の持女を付けるから、 なずなの身を守る為に、こっそりと付いて行かせた翔禾姫の乳母であり、なずなの母親のゆずなのようだ……

 青ざめた、表情で。焦りながら。でも『壁に耳あり障子に目あり』周りを意識したように 智に近付くと。

(なずなが、二人組の男に……外喜殿にが届く、の、屋敷き近くの……西……に運ぶと!)

 耳打ちして来たゆずなに。

(落ち着け……)


 智は自分に言い聞かせると、対応を考えるからと。頷いた時。

(翔禾姫と雅若の部屋に誰か来た?)

「失礼致します。翔禾姫様。雅若様」

「何事です?」

そう答えた翔禾姫。

 智は気付かれぬよう、襖を少し開けるが。

 用心の為か。障子は開けずに。

「外喜殿より、お茶を振る舞いたく。三の丸の屋敷へ……来られたし。 との事にごさいます。私が案内させて頂きますゆえ」


(口上を述べた男の声音は…… 外喜側の。 警護の見張りに何か仕掛けられたか?)

 外喜側の人間が易々と入り込むなど……

(とにかくどうすれば良いか考えろ ! 智!)

「……分かりました。 ご苦労様。ただいま参ります」


 まずは。

 































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