Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第53章 戦いの始まり
『大叔父上にいつも、何かしらの情報を耳打ちしている男が気になる。お母上、くれぐれも気を付けて下さい』
(潤にもそう言われていたのに……商人に変装していて……)
そんなのは言い訳だ。注意力散漫な自分が悪いのだから……
純梨の方は必死に考えた。
(叔父上様が何か仕掛けようとしている……)
早く知らせねば!
「すみません。お茶のお代わりを……いえ、反物の御礼に、こちらからも珍しいお茶をお入れ致しますね」
-パンパン-
そう言って、純梨の方が手を叩き合図すると、持女が隣の控えの間から入って来て。
「……良いですね! 殿様の居室へ行きお伝えして下さい! さぁ早く!」
「かしこまりました!」
純梨の方の命を受けた持女は、大きく頷き返事をすると。脱兎の如く部屋を飛び出して行き……
見送った純梨の方は。
(冷静に……落ち着くのよ。私のすべき事……)
「すみません。上がって頂いておいて申し訳ないのですが。私、他の方と先約をしていたのを失念しておりまして。 また次の機会に反物を見せて頂きとうございます。約束の時間が近付いておりますので……失礼させて頂きます」
そう言うと純梨の方は、席を外し部屋を飛び出すと、自分のすべき事の為に翔禾姫と、雅若の部屋に急いだ。
(爽様なら、伝言を聞いて動いて下さるはず!)