• テキストサイズ

Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第53章 戦いの始まり


 その頃の純梨の方

 -本丸 西《にし》御殿純梨の方の部屋-

 純梨の方は、数日前の爽の話しに想いを馳せていた。

 翔菜の方の『もう……翔禾姫と、雅若を……大人の都合に巻き込みたく無い』という想い。鈴への想い。子供達が成人してから外喜を……と。願った想いを。

『翔菜の方の気持ちを叶える為に、私は何をすべきか考えた。同時に凛実の立場も。外喜はそなたの叔父であるからな……』

『お待ち下さい! 爽様! 私は『例え叔父でも許されない事をしたのだから、私に一切の気遣いは無用です。なぜ失脚させないのですか?』と申し上げたはずです! しかし、翔菜の方のについてのお話を聞き、府に落ちました。叔父に隙を見せて、真実を悟られない為だったのですね』

 翔菜の方を思うと涙が止まらなくなった。

『聡いな。子供達も。そなたも。外喜を追い込む最後の機会となるだろう。互いに些細な動きの連絡を密にし合って……良いですか? 無茶をせぬように!』

 分かりました。爽と約束して。翔菜の方の願いに答えたいと純梨の方は誓って。

(己の役割を果たして、どんな場合にも対応出来るようにしなくては……)

 それから。

「おちちうえさま。わたしは じゅんりのかた さまに やさしくされても あまえられませんでした。うれしかったのに…… りんみのかたさま に あやまりたいです」

(雅若様……)

 雅若の健気な気持ちが本当に嬉しかった。

 しかし……ふと、純梨の方は嫌な感じを覚えた。

(落ち着いて考えるのよ……)

 爽は、翔希の方と、陽様と話し合う為に、本丸東《ひがし》御殿の翔希の方様の居室に向かったはず。

 今日は、家臣団の会議があるから叔父は……潤と、和也様も参加すると話していた。本丸御殿中央の政務室にて……


 本丸 北《きた》御殿で翔禾姫様と、雅若様は。翔禾姫様の部屋で一緒に過ごされていると。確認した持女より報告を受けている。智殿はお傍近くにて動いているだろう。

 自分の目の前には、珍しい反物を持参したと訪ねて来た商人が……

(入り用な物が出来たら、こちらから商人を呼ぶ事にしているのに……)

 相手方から訪ねて来たのを、迂闊に部屋に上げてしまったけど……

(まさか……)

 商人を良く見ると……

(叔父上様の腹心の使用人?)






















/ 188ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp