Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第51章 父と娘と息子の涙
「情けない領主に映ったであろうな。 翔禾姫には……」
「時に……」
「ハハ。正直だな。 楓禾姫は」
「それは、私を、雅若様を。潤兄上様を。そして純梨の方様を守る為……お母上様との約束を守る為……」
ポロリと、両目より涙を落とした翔禾姫。雅若も翔禾姫の横顔をじっと見つめ涙している。
爽も……
「櫻井家……和智翔ノ国の統治に再び力を入れ出したお父上様に。私と、潤兄上様。雅若様が動き出した事。外喜殿が黙っている訳ありませんから。お母上様の願いを叶える為に立ち上がりとうございます」
翔禾姫の強き決意に。
「無理はしないでくれ ……翔禾姫」
爽は……涙が止まらず、それを言うので精一杯だった。
「おちちうえさま。わたしは じゅんりのかた さまに やさしくされても あまえられませんでした。うれしかったのに…… じゅんりのかたさま に あやまりたいです」
それまで、口を挟まずに翔禾姫と爽の話を聞いていた湖紗若。
「うむ……純梨の方は分かっているから。喜ぶよ……」
自分の中の正義の為に、苦しい思いをさせたはずなのに……
翔禾姫と雅若の決意と懺悔。
愛しい二人を守り、幸せにすると……爽は誓った……のだか。
涙が止まらなくなった爽だった。