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Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第51章  父と娘と息子の涙


 -爽の部屋-

 翔禾姫の大きな美しい瞳から、みるみる涙溢れ。右隣に座る、雅若の黒目がちな瞳からも……

 翔禾姫も、雅若も。父を凝視したまま動かない。

 父の言葉が、頭の中で回っているのだが……衝撃の強さに、とまどっていた。

 一方の、爽。

 真っ直ぐに見つめてくる、瞳に。いたたまれない。居心地悪いといおうか……

「 翔禾姫、雅若。そんなに見つめられたら、私は、穴が開いてしまう」

 苦笑交じりに言うも。反応してこない二人……
 ──
『お父上様。雅若様に六年前の事。私が知っている事はお話致しました』

 そう、告げて来た 翔禾姫。

 覚悟の強さが見えて。

(そうだよな……落ち着くまで待とう)

 思い直すと。

「お父上様、誠の事にございますか?」

「ちちうえ さま ほんとう で……すか?」

 凛とした声音で翔禾姫が。つっかえながらも、ハッキリした発音で尋ねた雅若。

 爽が頷くと。

「お父上様が、時折、城を抜け出した理由が府に落ちました」

「そうか……」

「乳母のゆずなが、手紙の宛先を教えてくれなかった事の意味が府に落ちました」

「うん……」

「『もう……翔禾姫と、雅若を……大人の都合に巻き込みたく無いと……好きにしたら良いと、外喜殿に申してしまいました。元は、松本家も櫻井家の……潤様が統治しても構わないのです。私は……成人するまで……外喜殿に……子供達が成人してから……』お母上様の言葉に『外喜の毒牙から守りつつ、力を付けさせて。得意になっている奴より、取り戻そう? ですね?』お父上様は答えられたと。ゆずなは泣きながら教えてくれました。持女達の手紙にも」

「そうか……」

「お父上様は、お母上様の言葉に答える為に、動いていらしたのですね?」

 時に、事情を知らない新規の家臣達に、統治を放棄していると言われながら。

「その為に、 翔禾姫。雅若。潤を苦しめた……」

 事情を知る家臣達は、我が世の春を謳歌し、有頂天の外喜や、派閥の者達の嫌みに耐えながら。いつの日か……の為に我慢してくれて。

「敵を欺くには、まず見方から。お父上は、二心は無いと示す為に相葉の姓に変えたり……雅若を守る為に相葉姓を名乗らせたり。一部の家臣達の不満を真摯に受け止めながらも……」


























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