Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第49章 せつない恋に気づいて……
「これからですね」
「はい……」
「私は、時に先走ってしまう事があって。 殿様の動きについて『何か意味があってされている事のように思います』と言ったり……」
「それは!」
智は、思わず強めに和也の言葉を遮ってしまい、慌てて声音を落とすと。
「失礼致しました……それは……和也様が冷静に物事を見極め。櫻井家の事を考えておられるから……ですよ」
(それは、和也様が翔禾姫をお想い、翔禾姫の事を一番に考えた視点で物事を動かし……優しく翔禾姫を見つめておられるから……)
「……ありがとう。智殿の穏やかさは、心が疲弊しそうな時に、安心感をくれる……」
(櫻井家……松本家への私怨より、翔禾姫様への思慕が勝ったから、穏やかに翔禾姫様を見つめる事が出来るのですね……)
「潤様も、交えて良く話し合わねば……殿様は、翔禾姫と雅若様に。まだ話ておられない事があるようでしたし」
「楓禾姫も。殿様の動きに付いて……六年前の出来事で、まだ知らされていない事は何だろうと考えておられるようですしね」
「雅若様も、涙で『一人残すな! 秘密を教えろ!』と抗議されて来ましたね。今は、相葉姓を名乗ってはいるけれど……」
「はい。お小さくても『櫻井家をしょってたっている人間なのだ』という……」
「覚悟が見えました……」
和也と智は、言葉を揃え言うと。
(潤様になずなも含めて)
(潤様になずな殿も含めて)
櫻井家。松本家を。外喜の好きにはさせない。と誓いを新たにして。
(翔禾姫様を守り抜く!)
(翔禾姫を守り抜く!)
──
しかし……
潤は、きっと。堂々と『なずなを守る!』宣言をしたと思もわれる。あの状況の中で。
それに比べて……
(私のお想いは、伝える以前に……翔禾姫様に気がついてさえ頂けていない状況……)
(私のお想いは、伝える以前に……翔禾姫に気がついてさえもらえていない状況……)
ハァ
ハァ
思わず、ため息する和也と智であった。