Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第48章 大切な女性(ひと)
残された潤となずな。
対面で座り。どこか挙動不審ななずなの動きが可愛いと思いつつ、潤は。
「なずな?どうした?落ち着いて?」
と。言うと。
なずなは、潤の優しい声に心のざわめきが収まって。
先ほどの雅若の様子を潤に伝える。
「なるほど……嬉しそうにに抱き付いた純粋な雅若も。鋭い雅若も雅若だからな」
そう答えた潤。
「そうですよね。舌っ足らずなお可愛らしい雅若様なら、外喜様は警戒心をそこまで抱かれないでしょうし。 聡さを隠しておられる為。 けれど翔禾姫様には無邪気な姿見せておられるのですね」
左目より溢れし涙を、指先で拭いながら答えるなずな。
「うん。でも、和也と智に見せつけるように翔禾姫に抱き付く術は侮れないがな(笑)」
その言葉に、なるほど納得したというように、しかし 涙の残る瞳で儚げに微笑んだなずなは。
「和也様と智殿の『雅若(様)は侮れませんよ』は、そこから来ていたのですね」
「翔禾姫も、雅若も。なずなにだけは本音で『寂しい』と、さらけ出せるのだからな」
「はい。翔禾姫様と雅若様に安心して過ごして頂けますように、これからも努めて参ります」
なずなの答えに潤は嘆息すると。
「それでは、なずなは、誰に本音をさらけ出し甘えれば良いのだ?」
なずなは潤の言葉を反芻し。交わした言葉の内容を思い返してみる。
思い出して少し慌てふためきながら。
「私は、母に本音をさらけ出して。そして甘えますゆえ」
「 確かに母の愛は偉大だからな。けど、私がなずなを守るぞ」
( 違う。雅紀若に言われたからじゃない)
「雅若に『なずなを守れ!』 言われたから守るのではないぞ。私が私の意思で…… 大切だと思っているなずなだからこそ。守りたいのだ」
(なずな……可哀相な位動揺して)
潤は、とりあえず。なずなが冷静にな時にもう一度。話をしようと思った。
「なずな。約束してくれ!これから、外喜と決着付ける時が来たり、色々起こりそうな予感がする。とにかく些細な情報でも。何でもいいから私に伝えてくれ!」
「はい。潤様……」
いつも、健気ななずな。大切な存在の女性……
自分の言った言葉を整理しているのだろうか?涙ぐんでいるなずな。
(俺が守るから……)
何か起こる予感……
潤は気持ちを引き締め、誓うのだった。