Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第47章 爪を隠した姉弟
話しも終わり、ふとした瞬間、なずなは、にこやかだった雅若が泣き出しそうな表情をしている事に気付く。
(翔禾姫様に、お甘えになりたくなられたのかしらね)
気を張っていたのが、解けて。翔禾姫様に逢いたいけれど……
「雅若様? こちらから屋根裏部屋の様子を見にまいりませんか?」
年上である自分が、動いて差し上げねば。
「うん。いく」
どこか、ホッとしたような表情を見せた雅若。二人で屋根裏部屋に向かう事にした。
──
屋根裏部屋の様子を、扉の外で伺っていると。
「誰です?」
誰何した翔禾姫。
扉の内外で、話声など、物音はしていなかったから……かもしれない。けど……分厚い扉で遮られているはずなのに……
和也に、智、潤は思った。
(確かに聞こえた……けど)
物音や、人の気配を感じる訓練? や、日々気を付けている自分達でも中々……まぁ、お花や、お茶、裁縫などより、体術、剣術の鍛練に瞳を輝かせるような姫様ではあるけど……
「ショウ ひめ しゃま! 」
翔太禾姫の声に、中に入って来た雅若は、嬉しそうに翔禾姫に抱き付くと。
「ごめんなさい。おはなし おわりましたか?」
気遣わし気に尋ねている雅若。
「大丈夫よ。遅くなりましたね。雅若様? 寂しくなりましたか?」
翔禾姫は、少しからかい気味に。
「はい!」
翔禾姫には素直に『寂しかったです!』と、甘えて訴える雅若であった。
──
翔禾姫と雅若は、二人で屋根裏部屋より下がりましょうと話をしていたのだが。
「ショウ ひめしゃま の おへやに いきます。なじゅな ジュン にいしゃま それでは」
(え? 雅若様?)
翔禾姫と雅若は、潤となずなを屋根裏部屋に残し、階下へ降りていってしまった……
和也と智は、呆気に取られながらも、階下の自室へ戻るしかなく……