Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第46章 若君の涙
「皆様……雅若様にはご心配をお掛けしたくないと……思われたのではないでしょうか?」
その大きな綺麗な瞳に涙をいっぱい溜めて、なずなを見つめながら 。
「なじゅな わたしが けいこ がんばって つよくなったら ショウひめしゃま まもれるから はなしに よんでもらえるよな?」
(雅若様……)
「そうでございますね 。お稽古も。 手習いも。水泳の鍛練も。 嫌がらずに逃げ出さないで頑張られましたら。もっとお強くなって。話し合いに呼ばれるかもしれませんね(笑)」
少し軽い感じで、言葉を返して来たなずなに雅若は、恥ずかしそうに笑うと。
「がんばる!なじゅなも いっしょに!つよくなれば なじゅなも まもれるけど。しょれまでは ジュン にいしゃまに たのんどくね」
「へ?ありがとうございます。雅若様。 稽古を一緒に頑張らせて頂きます。 それから、私も、翔禾姫様達に雅紀若様も話合いの席にお呼びいたしますように。と、頼んでみますね」
満足そうに笑った雅若を見つめながら。
(なぜ潤様の名前をおっしゃったのかしら? )
ドキドキと、うるさく跳ねる心臓……胸を押さえながら、なずなは……思うのだ。
雅若様の、可愛らしく舌っ足らずなのは、 ほんの少し、お身体がお弱いのもあるかもしれないけれど。聡さを悟られない為?分かっていて ……のような……
(和也殿。(智殿。 お二人揃って『雅若(様)は、中々どうして。侮れないお方ですよ(笑)』って。おっしゃってたし……)
とにかく。雅若様の想いを、伝えなければ…… そう思った時に、何でか潤様の 顔が浮かんでしまい ……再びドキドキするなずなであった。
雅若は、 涙から一転 。笑顔を浮かべながら。一人百面相しているなずなを。
(なじゅな かわいい)
そう思いながら、見つめるのだった。