• テキストサイズ

Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第44章  幸せの国で……


障子戸を開けて、爽が見たものは……

自分の身体の左隣に、寝かせた雅若が大泣きしているのを、なだめようとしているのだろうか?

うつ伏せの体勢にて寄り添いながら、左手を雅若の胸元に軽く乗せ……


「翔菜様っ、翔菜姫様っ」

爽は、静かに、そっと。翔菜の方を上向きにすると……

 
翔菜の方の両頬に涙が……スッっと伝わって……

 翔菜の方が、 爽の声に反応してくれたように…… 爽には感じられて……

しかし、静かに目を閉じた翔菜の方……

「翔菜姫様?」

恐る恐る確認。かろうじて……息をされている。


「薬師を呼べ!」


--

しばらくして。

「殿様、薬師が参られました」

使い番の者の先触れに。

「薬師……?」

「爽殿。貴方様が指示なされたではありませんか……気を確かに……」

共に、翔菜の方の部屋に来た、爽の母の早月が答える。

その瞳には涙が溢れている。

--
一方、部屋に戻って来た純梨の方の見たものは……

腹心の持女達に、箝口令《かんこうれい》を敷くと、殿に知らせるべく、使いを出し。部屋の片隅にいる、こずえを隣の間に……と指示し。又、家族への使いも割り振ると……

「申し訳ございませんっ。翔菜の方様っ」

涙の止まらぬ、純梨の方。


-






/ 188ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp