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Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第43章 もう終わりにしましょう


 -純梨の方の部屋-

 翔菜の方は、純梨の方に呼ばれて、訪ねて来たはずであるのに……純梨の方が不在の状況なのは ……

 どういう事であろうか? 考える。

 代わりに居たのは外喜殿。

 部屋に入った瞬間、 自分以上に驚いた表情を見せたこずえ。

(彼女は、先ほど部屋にて述べた口上を私に告げるよう、命を受けたに過ぎない……可哀相に……)

「いや、お呼びだてして申し訳ありません。純梨の方が、潤様の鍛練の様子を見に行かれている時に。翔菜のお方様に……雅若君様ご誕生の祝いの言葉を申し上げなければと……」

 翔菜の方は、意識的に外喜の言葉を耳に入れぬようにして。

 明らかな嘘……

 純梨の方の留守を狙い、名を語り呼び出し、関係のないこずえを巻き込んだ……


 一応の礼儀は尽くしたようで……上座に案内された為、下座の外喜の後ろの方にて、青ざめているこずえが見える。

「櫻井家は、磐石ですな。雅若君がお生まれになって。貰い物ですがね、大福を頂いたのでね、お出ししますね。こずえ。お茶を立てて、そこにある大福を翔菜の方様と、雅若君にお出しして」


(何を申されているのだろう? この御仁は……雅若は、まだ生まれて三ヶ月……大福など、食べる訳ないではないか)

 胸に抱きし、我が子を見つめる。

 こちらに伺う前に、授乳し、満腹になったのか……眠っている雅若。

 人の話し声にも。この不思議な空気にも。起きる気配のない……

 にゅむにゅと、口元を可愛らしく動かして眠っている我が子。雅若


 残念な事に……茶の袋を開けた瞬間に、嗅いだ事のある匂いが鼻先をかすめて……


(守らねば……)

 大切な翔禾姫と雅若を……

 そして……

(もういい……)


 翔菜の方は、 一瞬、苦しい気な悲し気な表情を浮かべたのだが。



 次の瞬間穏やか表情を浮かべて。

(きちんと、こずえは、何の関係もないと……これだけ は、伝えねば…… ごめんなさいね 巻き込んでしまって……)


 
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