Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第33章 愚かな親心2
和智翔ノ国……否、日の本の国全体で、男から女性に婚姻の申し込みをするものである……
その価値観に縛られて、翔希姫自ら……後悔の念を抱いたはずなのに。
翔菜姫の想いを叶えてやりたい……親の我が儘から。これも根強い価値観。相手の出自を気にして、先回りして翔菜姫に確認を取ったり……
相手が爽である……兄の幸の息子。陽からしたら、甥である。と安堵して……
身勝手な親だ。と思いつつ、 爽に翔菜姫の想いを伝えて……
翔菜姫を幸せにしてあげて欲しい……生涯守り抜く覚悟をして欲しい。
少しでも早く知らせたなら、翔菜姫と婚姻するのだ。と覚悟を深めてくれるのではないか……
愚かなる親の暴走を、はるかに爽は越えて来てくれたのである。
婚姻の申し込みを、翔菜姫より先に……
陽が古きしがらみに縛られたり、勇気が出ずに。"諦めた"事を……
陽は、 爽が羨ましかった。
翔希の方と、二人。翔菜姫は爽と共に幸せになれると安堵していたのに……
「『私』より『公』。翔菜姫の覚悟が痛い程分かるから辛うございます。私も跡継ぎが出来なかったら……どうすべきか考えましたから……領主として、和智翔ノ国を優先なさい。より、 愚かな親の……せめて側室より先に子供を授かりますように…… そう祈る事をお許し下さい」
「翔希姫、私も同じ想いゆえ……愚かな親でございます。翔菜姫の決断を見守りましょう……」
さめざめと泣く翔希の方を、抱きしめ、慰めながら。 その言葉しか言えない。己……
(翔菜姫……)
陽は歯がゆくて、情けなくて……仕方なかった。