Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第32章 愚かな親心1
陽は、和智翔ノ国一。いや、日の本の国 一の幸せな男だと思っている。
父が櫻井家の軍事面。主に、ご領主様と、殿様の護衛《有事.戦時には作戦を練る》の任に任ぜられたのを機に、陽は 翔希姫の護衛兼遊び相手に選ばれたのだから……
翔希姫が、二歳。陽が三歳の時であった。
日本人形のように 愛らしかった 翔希姫。美しく成長した翔希姫……
(お慕いしていても……)
いつかは、諦めねばならぬ想い…… そう思っていた。
それが。
「陽。私と……夫婦になって下さいませんか?」
「はい」
幸せ過ぎて涙溢れた陽。同じく涙されている翔
希姫をぎこちなく抱きしめた陽。
『受け入れてもらえた』
と。翔希姫が小さな声で呟いたのだ。
その瞬間、女性から婚姻を申込みをする事への勇気……を思うと。
(あぁ、己の方から伝えて差し上げたかった……)
そう、思った陽であったのだ。