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Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第31章 一抹の不安


 父も母も

「爽に側室を迎えるのは時期尚早ではないのか? まだ一年ではないか?」

 そう、翔菜姫に説いて来た。

翔菜姫も、いずれは……と。授かりますように。と、心の中では祈っていた。

 しかし。


「『あらゆる事を想定して、先々と物事をきめる事』と、言われたのは、母上様ではありませんか」


 そう言葉を返して来た娘に、翔希の方も陽も何も言えなくなってしまったのだ。


「確かに申しました。『和(人8)翔ノ国を治める者として……』と。陽……『公《こう》より、私事を優先なさい』。と言ってあげたいと思うのは……」

 涙で、言葉を紡げなくなった、翔希の方に、陽は。

「間違えておりませぬ……私も同じ気持ちですから翔希姫」


翔希の方と、陽。『公』では、『翔希の方と、殿』から『翔希姫と陽』"ただの夫婦《めおと》"としての時を過ごす時。

 己にしか……己にだけには、心の中の物を全てさらけ出せるようにして差し上げたい……

 涙する翔希の方を抱きしめながら。

「爽は翔菜姫への想いを自らの想いを自らの口で告げた強く、優しき男です。翔菜姫の心に寄り添い続けてくれると信じて。親として、翔菜姫の幸せを祈りましょう」

翔希の方へ告げながら。爽に対しては。翔菜姫を支え、守れるのは、爽以外いないのだから……頼む

 似た境遇の爽……己が出来なかった事を叶えた爽 ……

翔菜姫は幸せになれると思っていたのに……翔菜姫が苦しみ、悲しむような出来事が起きねば良いが……

 陽は、気持ちがざわめくの止められなかった……
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