Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第28章 親心……切なる願い1
-数日前-
爽は廊下を歩きながら思いを巡らせていた。
殿様と奥方様から。
『話があるので、部屋に来て欲しい』
使い番の伝言に。剣術《模造刀や竹刀》の稽古していた爽は体中にまとわりついた汗が暑いしで。少し不快だったのに……汗がスーっと引き、今度は寒気が……
『「し、失礼にならないように体を拭いてから伺うので、少々お待ち頂けないでしょうか。
しょうか。と伝えては来てくれませんか?」
焦ってしまって、使い番に敬語で頼み事をすると爽は急いで湯浴みを済ませる事にした。
殿様と奥方様の部屋へ向かう道すがら。
(何をしたっけ?)
結局思い当たる節を見出せないまま、部屋の前に着いてしまって。
『お着きになられました』
心の準備も整わないままに、到着した事を伝えられてしまったのだった。
(なるようにしかならない!)
覚悟を決めて上座に座っておられる、殿様と翔希の方様の前。下座に腰を下ろすと。
「爽。呼び立てしてすまなかった。翔菜姫の願いを叶えてやりたい。親バカ二人のわがままと思って聞いて欲しい」
考えても出てこなかった疑問が、今のお言葉でますます分からなくなって何も答えられずにいると。
翔希の方様が。