Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第27章 生涯を共にして下さいませんか?1
『翔菜姫様。この、二宮爽と生涯を共にして下さいませんか?』
人は一瞬の間、聞こえているはずなのに、言われた言葉を処理出来ない事がある。今の翔菜姫がまさにそれであった。
ぽかんと、爽を見つめていた翔菜姫であったが。
(なんて事。自分に都合の良い幻聴が聞こえるなんて……)
和智翔ノ国を治め、櫻井家を継ぐのであるなら……
己の想うお方と……
相手は、二宮爽 。一つ年上の爽以外考えられなかった。
櫻井家を、軍事面(護衛を)にて支えて来た家柄の二宮家。父の陽の兄、幸《こう》と、翔菜姫の乳母である、妻の早月《さつき》の息子の爽。
翔菜姫の従兄に当たる。幼き頃より共に育った爽。ずっと慕って来た……
しかし翔菜姫は、ハタと気付いた。爽は二宮家の嫡男ではないか……
櫻井家を軍事面で支えて来た家の、由緒ある家柄の嫡男。いずれ二宮家をまとめて行く立場の爽 。
(そうよ。私は、私事を優先してはならない。櫻井の事を…… 和智翔ノ国の事を第一に考えねばならない立場……)
「少し、ぼんやりしてしまったわ。ごめんなさい。爽。明日、鍛練の為に……」
「翔菜姫様!」
爽は、自分の言った言葉を無かった事にしようと。又 、先に 翔菜姫が言った『無理難題』をも無かった事にしよう。とした翔菜姫の言い掛けた言葉を遮った。
「爽?」
「翔菜姫様。 私は幼き頃より翔菜姫様をお慕いして参りました。翔菜姫様。この、爽と生涯を共にして下さいませんか?」
みるみるうちに、翔菜姫の美しき瞳が潤んで行く。
爽は、翔菜姫の考えている事が手に取るように分かった。
(私が、二宮の家を継ぐ立場であると。 お考え下さったのでしょう? 翔菜姫様)
それに……