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Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第20章 姫様の嘆き


「端からみたら、お父上様は二宮家の『言いなり』に見えたのかしらね? 先日和也様が『私の父は、翔禾姫様の父上の弟。本来ならば兄を助け、翔禾姫様を当主にと手助けするのが筋……それなのに……』 そうおっしゃられた時に、そのような事を言わねばならない立場に追い込んでいる事を、申し訳なく思ったの」


「分かっております。六年前、翔禾菜の方様がお亡くなりになった後、殿様は、体調崩され て。御静養をされている間に周囲の者達が…… 先日、殿様と話をさせて頂く機会がありました。私と父に労りの言葉をかけて下さいました。その時に、翔禾姫様を雅若様を守りたいという、強いお気持ちを感じたのです。雅若様に、相葉の姓をお与えになられた事。深く二人を愛しておられるから…… 翔禾姫様? 申し訳ないなどと、思われる事はないのですよ」

「和也様…… なぜそのようにお優しいの…… なぜそのように悟られた物言いをするの…… ねぇ、智殿、貴方にも思う事はあるでしょう? 受け止めますから。智殿、何もかも吐き出してちょうだい!」

 そう言うと、泣き出してしてしまわれた翔禾姫様。

翔禾姫様の嘆きに、胸が張り裂けそうで。涙が零れそうで。情けない事に私は優しい言葉を掛けて差し上げることが出来なくて。


 その時。

「翔禾姫…… そのように、お嘆きにならないで下さい」


 それまで、一言も口を挟まず私と翔禾姫様の 話を聞いておられた智殿が、今にも泣き出しそうな表情でそう言ったんだ。



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