Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第20章 姫様の嘆き
和也side
「間違っている? だって私の為に……」
美しき、大きな瞳に涙を溜めて、お可哀想なほど、動揺された声音の翔禾姫様。
「翔禾姫様、落ち着いて下さいませ」
とにかく優しく語り掛けよう。
「和也様……なぜ、そのように穏やかでいられるのです」
「翔禾姫様こそ、翔禾菜の方様を……お母上様を亡くされ、深い悲しみの中におられるではありませんか。周りの者達の愚かしい野心に巻き込まれ傷つかれたのは 翔禾姫様、雅若様。そして、伯父上である殿様、櫻井家の皆様です」
「母上様ぁ……」
「櫻井家に婿養子に入られた殿様は、二宮家には二心は無いと示される為に、松本家とは、無益な争いは起こしたくはない。と……相葉姓を名乗るに至ったのですから……」
唇をかみしめて、涙を堪えておられる翔禾姫様。
(あぁ翔禾姫様、唇を噛まれては血が出てしまいます……)