Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第101章 新たなる日々
翌日、潤兄上様。なずな。純梨の方様。おばば様(翔希の方)。おじじ様(陽)は、潤雅翔丸《うがと まる》にて和智翔ノ国へ帰られたの。
そして……
『拝啓 翔禾姫様 いかがお過ごしですか?』
和智翔ノ国に帰りしなずなより、わずか三日後に届けられし書状。
『六年振りに、和智翔ノ国に帰られし翔菜の方様のお姿に、民達は皆歓喜に湧き、涙していました』
そう、お母上様が六年振りに、和智翔ノ国にご帰国なされたの。
お母上様とお父上様の中で、お母上様が一度和智翔ノ国に帰えられる事が決められていたみたい。
お母上様のご帰国の先触れの役を果たしてくれたのは……かつて外喜の家臣であった秋川信介。私と雅若様が瑠璃ノ島に渡った際に、護衛してくれた男。今回のお母上様達の船旅の護衛もしてくれ、書状まで届けてくれて。
『行ったり来たり大変よね。ありがたいわね』
そう言うと、和也様と智殿は苦虫を噛んだような表情? をしたのだけれど……
なぜかしらね?
外喜を見限り。
『櫻井家の為に、これからは忠誠を誓いたいと思います』
そう船で、誓いを立ててくれた時に、私はわだかまりを捨てて信介を受け入れたのだけれど……
前置きが長くなってしまったわ。
先触れを受け、和智翔ノ国を守って下さっている勇叔父上様の尽力にて。
『まず、各支配地の名代達が、桜城の本丸御殿の庭にて、縁側に立たれた翔菜の方様との対面なされました。次ぎに上群、中群、下群の民達が桜城に招かれ、希望する民達が皆集まり……縁側に立たれた翔菜の方様も涙。民達も涙、涙で、歓喜に満ち溢れました』
「良かった……翔菜姫様」
そう言って、涙ぐまれたお父上様。
『民達は、歌い踊り沸き返っています。桜城内では、翔菜の方様が持女を招待して、 自らお茶を立てて下さり。夜は、家臣達の今までの労をねぎらうため、酒肴の席を設けておもてなしされたりと、忙しくされております』
大体2週間ぐらいの予定で、和智翔ノ国に帰国なされたお母上様だけれど。後一週間で本当に帰って来てくれるかしら?
「翔菜姫様らしい……」
誇らしい。というように。でも、寂しさを滲ませて、呟かれたお父上様に。