Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第96章 智と和也の心情
瑠璃の海の浜辺にて砂の城を造っている、雅若と潤様。なずな殿に瑠璃殿を横目に絵を描いていた。
翔禾姫様が浜辺に……私の所に先に来て下さった……
嬉しくて。
しかし、和也様と私の間に雅若達がいらしても、視界に和也は映って来る訳で……
険しい表情にて、集中している風に見せておられるのをヒシヒシと感じて。おまけに遊びながらも、潤様があちらを気遣わしそうにしておられるし。なずな殿も。
『智殿? 何をされてるの?』
『同じ構図の絵だけど色が違うわ』
『はい。色の濃淡の違う墨を作って。同じ構図でも、色の濃さや塗り方を変えたらどう見えるかな? と思って。 色々試していたんです。絵を描くのは趣味なんです』
『なるほど…… 色が濃いのは、潤兄上様の力強さがよく表れてて。淡い色合いの絵は、なずなの儚げな様子が良く描かれている気がするわ。雅若様は可愛いわ。瑠璃ちゃまも』
きちんと、私の意図した事を理解して下さって。
雅若びいきと笑えば。
『何か問題でも?』
『いえいえ』
少しムッとして、拗ねられたのがお可愛らしくて。
恐れ多いけれども"軽口"を言い合えたのが幸せで。
ふと、会話が途切れた時に。
「和也様と、智殿にお話したい事があります」
そう、おっしゃられて。
お可哀相に、その顔色は青ざめ、緊張されているのが痛い程に伝わってきて。