Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第95章 智と和也の趣味
「和也様? 何をしているの?」
立ったまま、和也様の手元を覗き込むと。
紙に、筆にて何かしら書き付けている和也様。
「日記?」
にしては、少し違うような文章。隠す素振りも見せないので、右隣に腰を下して確かめると。
「会話してる?」
「物語風に書いてみたんですよ」
器用な人ではあるけれど。物語って……
「凄い人ね。和也様。何を書いているの?」
ため息混じりにそう聞くと。
「 今回の外喜の事とか、出来事を分かりやすくまとめて。残したら、 どうだろう?と思いたったんですよ」
「ハァ……趣味なの?」
「はい。翔禾姫様との会話を記したら、 ずっとその事を忘れないし。見返して、思い出す事が出来るじゃないですか」
「もう!冗談は辞めて!」
「ハハハ。 印象に残った出来事を。今日なら、雅若様と瑠璃殿はとても楽しそうで。潤様になずなも童心に帰って楽しそうです。 ってな感じで、とても良い思い出が残せると思います」
和也様は、きっと正式な櫻井家の記録とは違う。和也様視点の、物事のあらましを事細かに。分かりやすく残しておいてくれたんじゃないかな?って思うの。
本当に凄いわ。
智殿も和也様も。
感心し過ぎて。本来の目的を忘れそうになったわ……
ほっこりしてしまった気分ををもう一度緊張状態に戻しすのは、大変だけど……
さて……