Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第95章 智と和也の趣味
「智殿? 何をされてるの?」
立ったまま覗き込むと。
「絵? 綺麗……」
思わず感嘆してしまって。
紙に墨で絵を。 砂浜で遊ぶ雅若様と潤兄上様になずな、瑠璃ちゃまを描いていたの。
「同じ構図の絵だけど色が違うわ」
智殿の左隣に座りながら言うと。
「はい。色の濃淡の違う墨を作って。同じ構図でも、色の濃さや塗り方を変えたらどう見えるかな? と思って。 色々試していたんです。絵を描くのは趣味なんです」
「なるほど…… 色が濃いのは、潤兄上様の力強さがよく表れてて。淡い色合いの絵は、なずなの儚げな様子が良く描かれている気がするわ。雅若様は可愛いわ。瑠璃ちゃまも」
「アハハ。翔禾姫の弟びいき」
「 何か問題でも?」
「いえいえ」
まぁ、雅若様ひいき。なのは認めるわ。
きっと、智殿の技量が凄いのよね。 同じ構図のようでいて。絵描く際に力を入れて描く人決めて。絵に関しては素人の私が見ても違いが分かるようにって、描き分けてるのよね?
「 雅若に、瑠璃殿。子供の成長を絵姿に残したら、一番変化が分かって面白いんじゃないか? って思うんですよね」
ほらね。
絵師だもの。絵は得意よね。他にも、庭師の仕事も、襖の張り替えだって出来るし。 恐ろしく器用で、才能のある人よね。智殿って。
そうなってくると。話し合いの前に……
「和也様が、何をされてるか気になるから見てくるわ。少し席を外すわね」
そう智殿に伝えて。