Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第92章 真摯な告白 智から翔禾姫へ
翌日 巳の刻(午前十時頃)
-翔禾姫の部屋-
「私、智殿にこれからの事を頼んだはずですよね」
(口を尖らせて、これでは拗ねているようにしか聞こえないではないの)
「ええ。潤様の助けに。とおっしゃられました」
「ではなぜ?」
「『雅若とをゆっくりしたい』とおっしゃられましたが、まさか和智翔ノ国を出られるとは思わずに『 そうですね。よろしいと思いますよ』とお答えしてしまったのですが。どういう事でしょう?」
私は、ちょっと"嘘"を言った自覚はあるので、プイッと右を向いて唇を尖らせて……
なんだか、私。さっきから子供みたいな態度……あれ?
「智殿こそ、私の質問に答えてはないではないのでは?」
「殿様より『潤には、勇の妻の弟を付けるとするか』とお許しを頂きました」
(勇叔父上様の奥様。雪枝《ゆきえ》様の弟……誠《せい》様を……)
「私は『智殿と和也様なら、潤兄上様を。和智翔ノ国を。民を。幸せにする為力を尽くしてくれます』そうお父上様に申し上げたのに……先ほどから私と智殿。会話が噛み合っていませんね」
「私は、殿様の涙ながらの『親バカを許してくれ。私は、翔禾姫と雅若の幸せを、心から願っているんだ翔禾姫を心より思ってくれている智に。お願いしたい。翔禾姫をこれからも、支えてやって欲しい。よろしくお願いします』そのお言葉を頂き、翔禾姫のお傍に参る事にしたのです」
会話が噛み合わないというより……
「なぜ、私の所に……」
「一生涯、お傍で翔禾姫を守ると決意したからです」
智殿の未来を想い、違う場所にて羽ばたいてと願う私と。私の未来を想い今居る場所に居たいと願う智……
「なぜ? 櫻井家は、貴方の姉のこずえ様を……基史殿を、智殿を辛き目に合わせた家でしょうに……なぜ?」
「何回かお話させて頂いたと思いますけど? 櫻井家は、大野家、家名存続の処分を。私と父の待遇も、居場所も保証して下さいました。恨みなどありません。外喜に罰を下して下さいましたし。私は、出世より翔禾姫と雅若を影から守る任を誇りとしている為、潤様には申し訳ないですが。翔禾姫のお傍にて仕える道を選択したのです」
「智殿……」
(涙が出そう……)