Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第89章 殿様から和也へ
「勇共々、櫻井家の護衛という立場で使う事に 、良いのだろうか?と逡巡してしまうのだ。もっと、表での執務を増やすとか。その才覚を活かす部署に移りたいとは思わないか?」
「殿様。幼き時より翔禾姫と共に勉学だけでなく、和智翔ノ国の者として生きる心得や、必要な事をお教え下さった事感謝しても仕切れません。勇様と父から『殿が、体術や剣術などを学ばせるのは、翔禾姫様や雅若様を守るという、目的以外に。自分自身。和也を守る為なのですよ』と教えてくれました。代々二宮家が、櫻井家の護衛を務めて来たから選んだ道ではありません。護衛として翔禾姫様と雅若様を見守りながら、時に諜報活動もする。御庭番に混じって大勢で動いてみたり。一人、 対象に悟られないように探る。とか。 奥深い役割ですからね。 私は満足しております」
「和也……全く……そなたと来たら……」
そう言って呆れた様子の殿様。
この歳まで受けて来たご恩は、決して忘れてはならないんだ。誓いも新たに、心して生きて行こうと決心したんだ。
「和也」
「は、はい」
唐突な呼びかけに驚いでしまった。
「 すまない。驚かせて。和也の名前の由来はあるのか?
(殿様?)
「はい。ございます『穏やかで人の和を大切にする人』『何かしらの際立った才能を持った人』になるようにと、 両親が名付けてくれました」
「そうか…… 様々な事を器用にこなす才能の持ち主だし。 人との距離の詰め方も上手いしな。和也は……翔禾姫を好いていてくれているのだろう?」
唐突な殿様の言葉に緊張する……
けど、分かりますね。雅若様からの……い抜くような強い視線を感じるのを……
「はい」
この想いは隠せないのだから……正直に答えさせて頂きす。
「この瑠璃ノ島に付いてきたのは、翔禾姫を追いかけてであろう?」
「はい」