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Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第88章 爽から智へ


ただただ、良かった……しか出て来なかった。

 海辺にて釣り糸を垂らしながら、館での様子を思い返してた。


休日には、ボーッとしながら川釣りを楽しむのが私の楽しみだった。


視界の隅に、浜辺にて座り何かしておられる和也様が見えているのだけど……(気にすまい)


 翔禾姫と雅若の母としての表情にて、再会の喜びを噛みしめていらした翔菜の方様。


 翔希の方様と大殿様の娘として……

 翔希の方様にしがみつき号泣されている翔菜の方様を優しく抱きしめて同じく号泣されている翔希の方様。更に、お二人を包み込むように静かに涙されていた大殿様。


 少し離れた場所にて、翔禾姫と雅若はお三方を見つめておられ。雅若がヒックヒックとしゃくりあげているのを、翔禾姫が優しく声を掛けながら、頬に伝う涙を襟元から取り出した、四角く縫った綺麗な布にて拭って差しあげながら。翔禾姫も涙されていた。

 その様子に私も、涙溢れて。それは、純梨の方様も、潤様 なずな殿も、和也様に、早月殿も同じ。

 殿様は、涙は見えないけど潤んだ瞳にて……泣いておられる純梨の方様の背中をさすりながら、翔菜の方様達の様子を見つめておられた。

 釣りをしながら。何刻経ったのか……

「智様失礼致します。殿様より館の客室にて話しをしたい。との事でございます。案内致しますゆえお願いします」

 と、館の使用人だろうか?呼びに来てくれて。


「ありがとうございます」


 私は急ぎ客間に向かう事に。



 さて、 客間に着くと上座に殿様が。下座に私は腰を卸したのだけど……私の左隣に、雅若が座っているのはどういう事なのだろう? 


 殿様は、苦笑されながらも面白いというように何もおっしゃらないし。


(なずな殿大好きな若君ですからね。監視の為におられるのですよね?)

 本当に侮れないお方ですね……


「智よ。六年前……こずえを……本当に申し訳ない事をしました。ごめんなさい」

(殿様……)


 雅若がおられる事で、 どこか和やかだった空気が引き締まった……



























































































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