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Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第87章  爽から潤となずなへ


「純梨の方に、松本家が苦しい立場に立っている時に、私が不在にする事が増えたからな」

「はい。母上様を、守っては下さらないのか? と憤りを覚えた日もありました。しかし、母上は『お父上様は、潤を守って下さっているのですよ。感謝せねばなりませんよ』いつもおっしゃられるのです」

「純梨の方らしい……自分の事より潤……か」

「はい。幼き時より、翔禾姫と同じように『勉学だけでなく、和智翔ノ国の者として生きる心得や、必要な事をお教え下さっている』と。勇と基史が『殿が、体術や剣術などを学ばせるのは、お母上に、翔禾姫様や雅若様を守るという、目的以外に。自分自身。潤様を守る為なのですよ』と教えてくれました。ですから、自分の立場も状況も客観的に見つめる事が出来るようになりました」


「そうか……本当に純梨の方や勇には感謝しても仕切れないな。基史にも……」

 そう言って涙ぐまれたお父上。

 今日は、何回涙されるお父上を見ているだろう? この歳まで受けて来たご恩を。これからは私が…… 親孝行して返していかねばと強く思ったんだ。

「なずな」

「は、はい」

 急に、お父上に声を掛けられたなずなは、可哀相に……固まってしまって。私は、なずなの右手を取り『大丈夫』というように握ってやる。

「 すまない。驚かせて。なずなの名前の由来はあるのか?」

(父上?)

「はい。ございます『心優しく人に愛を与え人に愛されるような人』になるようにと、 両親が名付けてくれました」

 はっきりとした口調にて、答えたなずな。 一見、穏やかで、儚げななずな。けど、いざという時の肝の座り方は……敵に背負い投げ仕掛けた時といい……


(さすがだな)

 さすが私のなずな。 やにさがった表情をしていたのかもしれない。

 なずなは、 緊張して気付いてないようだけど……雅若からの……隣になずなが居るのに。 それを通り越して、こちらを射抜いてくる視線を感じるんだけど……



 










































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