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Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系

第87章  爽から潤となずなへ


ただただ、良かった……しか出て来ない。


 翔禾姫と雅若の母としての表情にて、再会の喜びを噛みしめていらした翔菜の方様。

 今は、翔希の方様と、大殿様の娘として……

 翔希の方様にしがみつき号泣している翔菜の方様を、優しく抱きしめて同じく号泣されている翔希の方様。更に、お二人を包み込むように静かに涙されている大殿様。

 少し離れた場所にて、翔禾姫と雅若はお三方を見つめている。雅若がヒックヒックとしゃくりあげているのを、翔禾姫が優しく声を掛けながら、頬に伝う涙を襟元から取り出した、四角く縫った綺麗な布にて拭ってあげていて。翔禾姫も涙している。

 その様子に私も、涙溢れて。それは、母上も、なずなも、和也に智、早月殿も同じ。

 お父上は告白された後に、先に涙した為か。今は、涙は見えないけど……泣いておられる母上の背中をさすりながら、翔菜の方様達の様子を見つめておられる。

 しばらくして。

「潤、なずな。少し話がしたい。良いか?」

 と、お父上が申されて。私達は客間に移動して話す事に。

 和也と智は『 家族の時間を大切にして頂きたい』と。

 和也は『浜辺の散策をしたり、本を読む事にします』。と。智は釣り竿があると聞くと『海にて釣りをしたいです』と言い、 二人それぞれ 出掛ける事にしたようだ。

 母上と早月殿は、翔希の方様達のお傍にて見守る。と、居間に残られた。


 さて、 客間にて、上座にお父上。下座に私となずなが座ったのだが……私の左隣に座るなずなの、更に左隣に雅若が座っているのはどういう事だろう? 


 お父上は、苦笑しつつ何も言わないし。なずなは雅若の右手を取り繋いでいるし。


(なずな大好き若君よ。監視の為に付いて来られたな)

 本当に侮れないお方だ……


「潤よ。特に六年前からは時に私に、憤りを感じた事もあったであろう?」



 雅若がいる事で、 どこか、和やかだった空気が引き締まって……


(お父上は直球で来られた……)

「そうですね」

 だから私も直球で答える事にした。



 










































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