Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第85章 爽から純梨の方へ
「純梨の方……」
「はい……」和やかだった空気が。爽の声音が緊張を帯びたのを、皆感じて。
「純梨の方…… 同じ部屋でするような話ではなかったね。先ほどの話聞こえていたのであろう?」
瞬間、涙を溢れさせた純梨の方。
「……」
「外喜のせいで、貴女は色々な事を言われたり、噂されたり。 たくさん苦しめてすまなかった」
「殿様のせいでは……」
潤となずなが、純梨の方の背中を両側からさすっている。
「純梨の方。潤を妹、弟想いの心優しき人間に育ててくれてありがとう。貴女と同じ。純粋で綺麗な心の子だ。和智翔ノ国を背負って立つ事となった潤を、 これからも見守り支えてあげて欲しい。 私も潤を支えると約束する」
「はい。 ありがとうございます……殿様……叔父の外喜の、様々な悪事の為に……」
「違う純梨の方。六年前の事件の時に、 冷静に箝口令を出してくれてありがとう。松本家の瑠喜殿と、奥方の純恋様がいて下さったから、外喜に屈する事なく、今日の日を迎える事が出来たのだから。感謝している。ありがとう」
「爽様……」
「お父上、お母上に、優しい言葉を掛けて下さりありがとうございます」
「潤は優しい子だ。 これからも、お母上を大切にしてあげて欲しい。なずなも宜しく頼みます」
「はい。殿様」
溢れる涙を止められなくなった母の背中をさする、潤の瞳にも涙が浮かんでいた。そしてなずなの瞳にも……