第78章 永遠に終わらぬ苦しみを……

　-翔希の方と陽の部屋-


「翔希の方、潤となずなが一人前になるまでは楽隠居出来そうもありませんね」

「潤殿となずなは、真面目で勉強熱心ですからね。直ぐですよ。決意したと同時に、陽、貴方に『領地の治め方を教えて下さい』と申してたでありませんか」

　頼もしい、*大甥《おおおい》の潤となずなが、和智翔ノ国を、これまで以上に発展させて行くのだろう。

　翔希の方にとり、*松本家に嫁いだ、妹の純恋《すみれ》の娘の純梨の息子の潤が、和智翔ノ国を守ってくれるのなら、こんなに嬉しい事はなくて。


　だからこそ、心配でならないのは、もう一人。翔菜の娘、翔禾姫と、雅若で。


「潤殿となずなの成長を見守りつつ、翔禾姫と雅若に逢いに行く。二重生活を楽しみますかね。翔希姫」


「そうですね。爽が外喜の事を片付けたら、翔禾姫と雅若に逢いに行く。と申してましたしね。早速、一緒に行かせてもらいましょう。 そこには……」


　涙を溢れさせた翔希の方を、陽は優しく抱きしめた……




　*翔希の方の妹 純恋《すみれ》

　純恋の娘 純梨（翔希の方の姪）

　純梨の息子 鈴（姪の息子=大甥）