Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第73章 上手な翔禾姫2
「和也様……時に見え過ぎて苦しくなる事ありませんか?」
「 それは翔禾姫様も、雅若様も同じではありませんか?」
つい、そう申し上げてしまっていた。
「人の心動きを見極めるには……鋭くなくてはならないもの」
「 そうですね」
(鋭いというより、鋭くならざるを得なかったのですね)
「あぁ、どうするのか? の問いに、答えてませんでしたね。雅若様と二人、しばらく穏やかに暮らせたらな。とか思ったのよ」
「良いと思いますよ」
「でも、お父上様や、潤兄上達、 和也様、智殿達には、苦労を強いて私だけ……」
「その為に、お助けする為の家臣が。我々がいるのですよ。今、翔禾姫様と雅若様が、疲れているのなら心を休める時なのでは。殿様や、潤様が心疲れた時は、翔禾姫様と雅若様が頑張る。それを、さらに我々がお支えする。それで良いではありませんか」
そう伝えると、大きな綺麗な瞳に涙を浮かべられた翔禾姫様。
「ありがとう」
儚げに微笑まれた翔禾姫様。
「例えば、何をして過ごされるのですか? 翔禾姫様」
「そうですね。山での鍛練?」
口元に、右手の人差し指を当て答えられた翔禾姫様。
「山で鍛練?」
「何ですか? 心配ないわよ。雅若様には、更なる力を身に付ける為と言いながら、お小さいのに山登り修行をおさせしながら、私にはさせて下さらないから。時間がたくさん出来たら。危険な事はないように鍛練を致しますから、ご心配なく!」
プンスカしておられる翔禾姫様。
翔禾姫様対して、危ないですから。と。お止めして来た事。逆手に取って来られた……
(お供しさせて頂きたいけれど……)
お受け入れになってはもらえず……今までのように、お傍にいる事も許されない? 焦りを感じた。
翔禾姫様が上手でおられたのだ。
この先の事について。翔禾姫様が本当の本音を、この時、隠しておられるのを私は、疑念を頂いていたのに。
はぐらかされてしまっていたんだ。