第74章 拝啓 いかがお過ごしですか？1

　拝啓 潤兄上様


いかがお過ごしですか？

私も雅若様も元気にしております。

潤兄上様。初めに。これだけは分かって頂きたく存じます。


私が、櫻井家を和智翔ノ国を出る事に致しました。決断は、全て私一人にて決めた事。

殿様、翔希様、陽様におかれましては、一切の関わりの無き事にございます。

雅若様は、賢き子ゆえ。私が一人にて旅立つのに不安を抱いていたのを敏感に察して、一緒に行動を共にする決意をして下さったのです。


潤兄上様、誠に身勝手なお願いを致します事。お許し下さい。


潤兄上様の、和智翔ノ国を良くして行きたいという熱き想い。古き良き物を守りつつ、新たな改革をも取り入れて行く姿勢。

領主としての器量を、潤兄上様はお持ちです。どうか…… 和智翔ノ国の為にご尽力頂けませんでしょうか？


苗字に付きましては、櫻井家と松本家は元は一つの家。松本姓を名乗って頂いても……私の我が儘からお願いする身です。憂いも不満もありません。



純梨の方様にも、感謝しても仕切れない程の幸せを頂きました。

ありがとうございました。


潤兄上様。なずなを幸せにしてあげて下さいませ。

私がお願いしなくても、潤兄上様がなずなを大切に想って おられるのは分かって いるのですが。



なずなと二人で、和智翔ノ国を盛り立てて行って頂きたく。どうぞ宜しくお願い致します。



私は、潤兄上様の妹に生まれ幸せでした。


失礼致します。


翔禾より


かしこ