Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第69章 お母上様……終わりましたよ。
私は意を決し。未だに項垂れた外喜の前、上座におわす、お父上様の左隣りに腰を下ろして。
緊張して、身体が小刻みに震えていたの。
ギュッ
お父上様が、私の右手に左手を軽く乗せてギュッてして下さって……
大きくて、暖かい大好きなお父上様の手……
涙に潤む瞳で、私を見つめて『大丈夫』というように、微笑み、頷いて下さって。私も、微笑み頷き返して。
「外喜、上に立つ者として、覚悟を持って統治を行う決意はありますか? 又、覚悟を持って統治を行って来たと胸を張って言えますか?」
私の問いに、勢いよく顔を上げた外喜。
その表情には。
『女』だてらに……
など。
『侮っている 』
のが、ありありと見え隠れしている……
「外喜、目上の者に敬意を払わず。下の者を労らない。 そなたには国の統治など無理です」
「何を小癪なっ」
(取り繕うことさえ忘れたようね……)
「その言葉使い、無礼であろう? 殿様の命令に従わず。私と雅若様を。お茶に招いた際の言付け。更に。そなたは初めに、部屋の座布団をどこに配置しましたか? 目上の者に上座を進めるものであろう?」
「ふんっ」
怒りの為に、握りしめた拳を、お父上様が上からギュってして下さって。
無礼もここまで来ると…… 怒りよりも……
(可哀相な人……)
しかし、私以外の人達の怒りの凄まじさは半端ないものを感じて。
「貴方は、礼儀を学んで来なかったのですか? 雅若様は、お小さいのに一生懸命に学ばれ、身に付けておられますよ」
「……」
それがどうした。という顔している外喜。
「雅若様が、座布団の位置を入れ替えていましたよ。生まれた時から、人の上に立つ者としての覚悟を持って日々を学ばれている。貴方とは器量が違います」
「黙って聞いていればっ」
外喜が叫んで、腰を浮かせた瞬間、和也様に、智殿。潤兄上様が部屋に入って来られて。外喜の右側に智殿。左側に和也様に。後ろに潤滑兄上様が陣取られて……
外喜は、悔しそうに胡座をかいて座り直して。