Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第66章 煙玉に祈りを込めて
純梨の方様が、外喜の前に座っておられたの。
大丈夫です。というように。私の方を見て微笑みながら頷いた純梨の方様。
何をなさるおつもりなのか、不安だけれど。
気が付くと、櫻井家側の護衛の者達が、部屋の周りを固めてくれていて。
和也様も、潤兄上様もおられるし……純梨の方様に危険は及ばないだろう。及びませをんように。と願いながら。
智殿に目を移すと。
外喜を逃がさぬように、後ろに立ってくれていて……
『智殿。ありがとう』
こちら側を心配そうに見ている智殿に『助けてくれてありがとう』の想いを込めて、声は出さずに伝えると。
頷いてくれて。
可哀相に怖さで震えている雅若様。まだお小さいのに、私を守る為に……
これから起こるだろう事を様には見せたくない……
「ゆずな。おゆり。助けてくれてありがとう。後できちんと、お礼をしますから。今は!雅若様を本丸北御殿へお連れして!湯浴みをして頂いてから、ゆっくりと休ませて上げて下さい!とにかくお傍で見守って上げて。体調に経んかがあったら、直ぐに薬師を呼んで!」
「はい!かしこまりました!翔禾姫様!」
ゆずなとおゆりが、返事をすると、サっと。一人の護衛が雅若様を抱き上げてくれて。
「翔禾姫様。必ず、本丸北御殿に雅若様をお連れいたします。ゆずな殿とおゆり殿も、お守りしますゆえ」
そう言うと、雅若様を連れて外喜の屋敷を離れて行ったの。
その時、和也様と潤兄上様が。
「暗号を持って来た男だ……」
呟いたのに気付かなくて。後で、智殿も含めた、三人からそうだったと聞いたの。
さて……どうしてくれようか……そう思い部屋の中に意識を戻すと……
「叔父上様……」
純梨の方様が切り出したの……