Lapis Lazuli 瑠璃色の愛 ~初恋と宝石Ⅵ 気象系
第66章 煙玉に祈りを込めて
翔禾姫が、雅若を優しく抱きしめられて。
(どうか……)
誰一人傷付く事なく、事が上手く運びますように……
私は、祈りを込めて天井より。
煙玉《けむりだま》を。
(翔禾姫雅若!)
誰もいない。上座から見て右側の奥。障子戸の手前の空間に落とした。
-バァン-
翔禾姫様が、雅若様を優しく抱きしめられたのを見届けた後、潤様は私を抱き抱えられると……
和也様達のいる襖の前へ移動されて。直後に。
バァンと音がして、部屋中が煙に包まれて!
(翔禾姫様!雅若様!)
私は、なずなを抱き上げ、達のいる襖の前へ移動して。その後直ぐに。
バァン
智が仕掛けた後、私と和也は素早く部屋中に。煙の中入っていって。
和也が、翔禾姫と雅若を。私は、ゆずなとおゆりを。襖の外に救い出す事に成功したんだ。
(良かった……え?母上?)
外喜と対峙されている?
バァン
智殿の合図。
潤様と、煙の中へ。
翔禾姫様と、雅若様を襖の外に……
(お救いする事が出来た……)
潤様が、ゆずなとおゆりを救い出して下さって。
安堵して。
煙が消え、視界に飛び込ん出来たのは。
外喜を逃がさぬよう、外喜の後ろに立った智殿……
(え?純梨の方様?)
純梨の方様?が外喜の目の前に座っておられたんだ。
智殿の仕掛けで。部屋中に煙が充して。
「ひっ」
衝撃と怖さからだろうか……雅若様が、声を上げられたの。
ギュっ。ってして。和也様が雅若様を抱き上げてくれて。
「さぁ、翔禾姫様、雅若様? 大丈夫ですよ。外に出ましょう」
小さな声で和也様が…… 和也様がいつも。
『七つ道具が入っているのですよ』
中は見た事はないけれど。腰にぶら下げている小さな袋を掴むと。襖の外に連れ出してくれて。
中の様子を見ると。
(純梨の方様っ?!)