第5章 嬉しい出会い
「ちょっと待ってて下さい」
書斎から "クローン" を持って来て木立さんに手渡した。
木立:
「これって……」
木立さんが唖然としている。
「大野から栽培用具を頼まれた時に、
このサイズの段ボールの箱も入れてくれ
って頼まれませんでしたか?」
木立:
「あ、そういえば…」
「その中身がこれだったんです。
原画は大野が持っている筈です」
一つ嘘をついた
木立:
「これは凄い…
道理で詳しくお聞きになられてたはずだ…」
「木立さんの所へ?」
木立:
「はい、"1日空けてくれないか?”
って。たまたまその日、何も予定が入ってなくて
"倉庫でよければ”って。
私なんかの説明を細かくメモされていて、
写真も沢山撮って行かれて…
それがこんなに素敵になるなんて……」
木立さんは、まじまじと "クローン" を見なが
らその時の事を話してくれた。
こんな事もあろうかと、俺は "クローン" を2冊作っていた。
1冊は、俺専用の "完璧” なモノ。
もう1冊は、"目次とあとがき” を抜いてクリアファイルに
挟んだだけのモノ。
目次もそうだけど、
『あとがき』
は誰にも見せたくなかった。
メンバーにもね…
"発行日"
も
"シリアルナンバー"
も
"サイン"
も
そうだけど、
それとは別に………。