• テキストサイズ

Sの憂鬱

第5章 嬉しい出会い


「ちょっと待ってて下さい」


書斎から "クローン" を持って来て木立さんに手渡した。


木立:
「これって……」


木立さんが唖然としている。


「大野から栽培用具を頼まれた時に、
このサイズの段ボールの箱も入れてくれ
って頼まれませんでしたか?」

木立:
「あ、そういえば…」

「その中身がこれだったんです。
原画は大野が持っている筈です」


一つ嘘をついた


木立:
「これは凄い…
道理で詳しくお聞きになられてたはずだ…」

「木立さんの所へ?」

木立:
「はい、"1日空けてくれないか?”
って。たまたまその日、何も予定が入ってなくて
"倉庫でよければ”って。
私なんかの説明を細かくメモされていて、
写真も沢山撮って行かれて…

それがこんなに素敵になるなんて……」


木立さんは、まじまじと "クローン" を見なが
らその時の事を話してくれた。



こんな事もあろうかと、俺は "クローン" を2冊作っていた。

1冊は、俺専用の "完璧” なモノ。
もう1冊は、"目次とあとがき” を抜いてクリアファイルに
挟んだだけのモノ。





目次もそうだけど、
『あとがき』
は誰にも見せたくなかった。
メンバーにもね…

"発行日"

"シリアルナンバー"

"サイン"

そうだけど、

それとは別に………。





/ 34ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp