第3章 蝶屋敷
(あれは…妹の方だなァ)
厠から戻った実弥が廊下を歩いていると回復機能訓練室に向かう千聡の後姿があった。
「お嬢さん1人かァ?」
千聡の横に並ぶと驚かない様に静かに声をかけた。
「…不死川様ですね。」
千聡が実弥の方に振り返る。
「姉様はお疲れの様で…部屋で休んでいただいているので、私1人です。」
「そうかァ…1人で大丈夫かァ?」
視力の悪い千聡が1人で回復機能訓練室に向かっているため実弥は一緒に行った方がいいか思考を巡らせた。
「はい。1人で大丈夫です。……不死川様。一つお願いしてもよろしいでしょうか?」
「どうしたァ?」
「蝶屋敷の結界は私が張らせていただくのですが、姉様が手伝いにきてしまうかもしれません。なので、部屋で姉様の話し相手になっていただけませんか?」
「……。」
実弥は頷くかどうか考えあぐねいていた。
「…姉様には押し切る状態で部屋を出てきました。姉様には無理してほしくないのです。私にも頼っていただきたいのです。」
千聡は切実に実弥に訴えかける。
「……わかったァ。」
「ありがとうございます。不死川様。よろしければ、これをお茶請けとして下さい。」
千聡は嬉しそうに笑った後、懐からお菓子の包みを出した。
「わかったァ。」
「不死川様も一緒にお召し上がりくださいね!それと、このお菓子は私からって絶対に姉様に伝えないで下さいね!」
「あァ。お嬢さんも気をつけて行けよォ。」
「はい!」
千聡と実弥は分かれた。