第1章 1章 崩壊そして邂逅
義勇と別れた姉妹の話ーーー
姉妹はゆっくりと歩きながら、周りに聞こえない音量で話していた。
「千聡があの香を渡すのを初めて見ましたよ。」
姉が意外そうに言う。
「そうですね。初めて感じる方でしたので、咄嗟に渡してしまいました。」
千聡は少し照れたように言う。
そんな千聡に深聡は優しく尋ねた。
「どんな感だったのですか?」
「……。例えるなら水面の様な穏やかな…それに加えてとても優しく悲しい感じがしました。」
「そうですか…。確かに先程の方はとても綺麗な瞳をされてましたよ。身体は丈夫の様でしたが、少しお疲れの様でしたので祓っておきましたよ。」
姉妹は話しながら神社の境内にやって来た。
「では、千聡。貴女は先に戻っていなさい。」
そう言いながら深聡は千聡の手を離す。
「姉様はお戻りにならないのですか?」
千聡は少し不安げな様子で尋ねる。
「日が近づいて来ましたので、状況の把握と修復を行ってきます。」
千聡を安心させるように深聡は言った。
「…分かりました。必ず日が暮れるまでにはお戻りくださいね。」
「もちろんですよ。自ら危険に飛び込む様な真似はしませんのでご安心ください。…行って来ます。」
そう言って深聡は神社から離れて行った。
「姉様…。どうかお気をつけて。」