第1章 1章 崩壊そして邂逅
狐邑神社の前まで着いた実弥と義勇は犬戒神社と鴉取神社に向かうため別れようとお互いに背を向けた。
「「!!」」
互いに駆け出そうとしたその時、狐邑神社が藤の花の匂いに包まれた。
突然の匂いの出現に実弥も義勇も目線を狐邑神社に向けた。
このまま狐邑神社を確認せず素通りしてはいけないーーー。
2人の勘がそう告げる。
互いに合図を送るでもなく2人の足が狐邑神社の方へ向いて進み出す。
狐邑神社の境内に特に目立った様子もなかった。
鬼の気配もしなければ、血の匂いもしない。
何もなかったのだが、そこに違和感を感じた。
実弥は本殿の方も確認すべきと思ったが、何せ神社とは神聖な場所だ、土足で踏み込んでいい場所ではない。
実弥が本殿の扉を開けようか考えていると、実弥の心境など気にもせず義勇が何の躊躇いもなく本殿の扉を開いた。
「おィ!冨岡ァ!なんでもかんーー」
実弥は抗議をしようとしたが、本殿の中に人影を見つけ、口を閉ざした。
「貴女は………。」
本殿の扉に手をかけたまま動かなかった義勇が声を漏らした。
「んだァー。顔見知りかァ?」
実弥の声に人影が動く気配を感じた。
「お願いです!姉様を…姉様をお助け下さい!!」
千聡の切羽詰まった声に緊急事態だと判断し、義勇と実弥は本殿に足を踏み入れた。