第1章 1章 崩壊そして邂逅
男はすっかり夕暮れになってしまった中、自分の屋敷の前まで来ていた。
今日はいつもとは違う出来事が起こり、珍しく疲れていた。
(それにしてもあの神社で会った女はァ…。)
2月前に出会った犬に、おにぎりをあげている時に出会った女の事を思い出していた。
目が合った瞬間に、自分よりは年下だと推測される落ち着いた顔が綺麗な女だと感じた。
そして、手当てをすると言った時の深緑の芯の通った瞳に思わず言うことを聞いてしまった。
(お守りなんて貰うのォいつぶりだろうねェ…。)
男は少し浸りながら歩く。
「…だれだァ?」
屋敷の前に人影を見つけて男は眉を顰めた。
その人影は男の姿を確認すると近づいて来た。
「不死川くん。怪我をしたって聞いたけどちゃんと手当てはしたのかしら?」
その人影は男・不死川実弥を心配そうに見つめた。
「なんでェ、胡蝶が俺の屋敷の前に居るんだァ?」
「不死川くんがちゃんと手当てをしたのか心配で来たのよ。」
そう言って、カナエは実弥の左腕を取ろうと手を伸ばしたが、実弥がそっと左腕を引いた。
「手当てはァした。」
そう言ってカナエの目の前に左腕を見せる。
「…綺麗に手当てしているのね。…誰かにやってもらったのかしら?」
カナエは的確な処置がされていて内心驚いた。
「あァー。神社で…(どんな奴だったかァー。やべェ。顔が思い出せねェ。)知らねェ奴に手当てしてもらったァ。」
実弥は先程まで覚えていた女の顔が思い出せなくなって内心焦っていた。
「…そう。」
「あァ。だから俺のことなんざァ構わねェで、他の隊士たちの怪我を診てやってくれェ。じゃあな。」
そう言って実弥は屋敷に入って行った。