第19章 アフター・ダンスパーティー
「そりゃそうよ。一応ね、ちゃーんと種があるかどうかをオマエと籍入れる前に検査済みなのよ」
気だるそうにそう言う悟ではあるけれど。しっかりそういう所を検査してるんだなー…と感心する。へえ、と返した私に彼は無邪気な笑顔を見せながら顔を少し私側へと寄せた。
「僕ね、人並み以上に精子の数が多いんだって。運動量も活発、生存率も……って呪術界最強の五条悟君は子種も最強なの。だからハルカの排卵日に出したら割と的中率高めだと思うんだー……それ、ぜーんぶオマエの中で受け取ってね☆」
『それは私、知りたくなかったなー!』
ばっちーん!と音が出るくらい、サングラスの奥でウインクをする悟。確かに悟なら遺伝子レベルで強力そう。危険日に出されでもしたらアウト案件やんけ。ショットガンベイビーされる。
これからはちょっとより警戒しておこう、避妊具はしっかりしないと生理が来なくなる。よくあるパターンの、外に出すから生でも良いよね、もナシの方向だな……と心に決めている所で真面目な表情に戻った悟は声量を落とした。
「五条家当主の僕はさ、オマエに会う前は結構女の子と遊んで過ごしてたからね。
遊んでたといってもしっかり分別付けての遊び。無理に家庭を持たざる負えない状況だとか養育費だとかそういうのもあるって聞いてたし、流石に僕も種まきするとかそこまで馬鹿な事しないよ?
その女遊びを周りが知ってのハルカとの結婚だ、この年齢までに子供を持ってないからってジジイ共には種無し認定でもされてたんだろうよ……」
以前に医務室で言ってた事か、と思い出しながらも女性関係の話であるから聞いていてあまり気分は良くはないんだけど。
「しかも先日にオマエを連れて行かなかったから余計に老い先短い舌がべろんべろん良く回る事!
……やぁねえ、オマエが学生じゃなくなったら速攻孕ませるって言ってんのに、老いぼれ特有の豊かな妄想で僕に種がねえっつってんの!」
はあー…、と疲れていそうな、ストレスの真っ只中の悟の頭が下がる。その頭部に手を伸ばしてよしよし、と優しく撫でた。