第19章 アフター・ダンスパーティー
「そうそう、ハルカ。うちの学校の楽厳寺学長からね、2週間くらいハルカを京都に来させたいって案があるんだけれど、」
「だが断る」
トライアングルフォーメーションで話してる間に、ヌッ、と真ん中に現れる悟。私が返事をする前に断ってんですけど。
その彼の肩に手を置き、ぐい、と外側へと引き寄せようともびくともしない。
『ぐっ…!びくともしねえ、土佐犬か?本人である私より先に返事すな』
「いや、本人の前に僕はキミの担任でもあるからね?僕にだって決定権あるでしょ?僕のハルカを貸し出す権利はハルカ自身じゃなくてこの僕、五条悟に許可しないと駄目に決まってるっしょ?」
独占欲…独占欲だ、と歌姫達や、近くの三輪達がひそひそ囁いてる。こんな所で誰にでも分かるような独占欲の発揮をするな。
本当に担任としての理由かが怪しい。ここは突っ込むべきだと私は本能で感じるし……。じーっとその悟の顔を見る。今はサングラスを掛けてるからいくらか安心。
『ふーん?担任だから?……私としては東京から京都に期間限定で行く事は交流であったり色々と学ぶ機会があるし、治療にあたっては吸い取る状態異常も場所が変われば違うかもしれないし……私としては後のことを考えたら有利だと思うんだけれど、担任としてはどういう理由で断ってんのさ?』
……あと、京都に行くのなら歌姫とお酒を飲める機会も設けられる、というのは悟には黙っておこうっと!空になったグラスをテーブル脇に置きつつ最後のひとくちのロゼと一緒に言葉を飲み込んだ。
悟はキリッ!としたキメ顔をしてる。そういう表情をすれば落ちると思ったか!いや……ちょっと自己暗示して悟の事を深く考えないでおこう。
「ハルカが居ないと眠れない!」
ハズキルーペのCMか?という勢いで、空を叩きつつ怒る悟。ソフトドリンクでキマってしまってるようで。
眠れないって理由だけで飲み会じゃなかった私が学ぶ機会を拒否されるのは困る。ずっと京都に居るわけじゃないんだからそれくらいは許してくれても…。
『はい私情ー、睡眠薬でも処方されてな』
「キミは僕に薬漬けになれっていいたいのかな!?」
『そうは言ってないんですけど?じゃあIKEAのサメのぬいぐるみでも買って、ねんねしてな』
「やー!」