第19章 アフター・ダンスパーティー
『ったく……せめて人前で揉まないでよ?手首にシルバー巻く案件だからね?』
「高専外では流石にやらないよー…、でさ、うどんはどう食べんの?」
回数多めに揉み逃げした悟はちょっかいを出すのを止めて覗き込む。変に執拗に攻めてくるわりにたまにこうもあっさりと諦めるんだけれど、そういう時にこっちから攻めると子供じゃないんだから、って言われるから仕返しはしないでおく。言われたら腹立つしね。
うどん…どうやって調理しようかな?とゆっくりとした足取りで木造の床を進みながら。
さっぱりとした感じに食べたい。熱いのを食べるのはちょっと。調理中は仕方ないとはいえさ。痛む前に野菜も消費したい所だし。
『まだ暑いしね、サラダうどんでも良い?』
「んー、良いけど。色んな具材たくさん入れようね。オマエの体が僕は非常に心配です」
むっ、と悟を見上げた。完全に今の私は健康体そのもの、最近なんて"罰祟り"を一切使っていない。最後に使ったのは皆で海に行った時。
そこまで過保護に扱わなくても良いんじゃあないのかな。
『別に今、血が足りないってワケじゃあ…』
「言っておくけど」
私の発言は悟の言葉に被せられて。
「ハルカの体は僕の物でもあるんだからな?ハルカには日々の生活を健康体で過ごして欲しいんだよ。術式の使用で血液を消費するにしても、式髪にしても。体の調子は常にベストコンディションにしないと駄目だ」
厳しく言った後にはふっ、と笑みを浮かべつつ部屋前に辿り着く。悟は鍵を開けてどうぞ、と私を先に通した。
『……』
心配してくれてるのはすっごくありがたいし嬉しいけれど……。子供じゃないんだからそこまではなあ。いっつも私の方が、悟のマインドがちょっと幼い傾向にあるから小馬鹿にする分なんだか腑に落ちない。